くじら座タウ星府立大学SF研究会

主に読書(SF中心)について書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。

ジェイムズ・レナー『プリムローズ・レーンの男(下)』

プリムローズ・レーンの男 下 (ハヤカワ文庫NV)

プリムローズ・レーンの男 下 (ハヤカワ文庫NV)

あらすじ
デイヴィッドは「プリムローズ・レーンの男」殺害の第一容疑者として警察にマークされていた。地元のゴシップ紙がそれを報じ、彼は好奇の目に晒される。やがて殺された男と死んだ妻の関係を示唆する証拠が発見されると、デイヴィッドへの疑念はさらに高まった。挙句の果てに、彼は妻の殺害容疑まで着せられて窮地に追いこまれる。だが、あまりに意外な人物が彼の救出に現れるのだ!怒涛、衝撃、唖然、驚愕!圧倒的スリラー。

知り合いの書評ブログさん(というか、司書つかささん)のネタバレを見て××小説だと知ってあわてて購入したのだが、正解だったね!普通のサイコサスペンスとして進んでいくうちに、第三部に入った途端に急激なアクロバット展開から××小説に!?はじめから××小説として読むと言いたいこともあるのだが(そのへんは下のネタバレ反転で)この行き先不明の反則すれすれジェットコースターはぜひ味わうべきだね!
以下ネタバレ反転。第三部で未来から来た自分に窮地を助けられて、そこから急に時間SF小説に!しかも時間線がごちゃごちゃして、主人公と同一人物と思われる人物でも一体いつの彼なのか解き明かさなくてはいけないという、ミステリ的な手法は興奮するね。
しかし、これを評するのにハインラインの「時の門」を引き合いに出した某書評家がいたが、これはいただけない。「時の門」じゃなくって、「ドラゴンボール人造人間篇のトランクス」じゃねーか!!「時の門」のような決定論型のロジックの時間SFでは決してない。こっちの期待をしてしまったので、肩透かしを食らわせた某書評家の罪過は大きい。決定論型のロジックじゃなく改変型の多世界解釈で、どの改変された時間線から来た人物がどの事件を起こしたのかを解き明かすパズル要素はたしかに秀逸でおもしろいんだけど。
とりあえずサイコサスペンスと見せかけて、どこに連れて行かれるか分からないジャンルミックスのヘンテコ小説に仕上げた心意気は楽しい!混乱と爽快の規格外の小説でした!こういうのが出るから、ハヤカワ文庫NVはあなどれん!!
★★★★☆