くじら座タウ星府立大学SF研究会

主に読書(SF中心)について書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。

スタニスラフ・レム『宇宙創世記ロボットの旅』

宇宙創世記ロボットの旅 (ハヤカワ文庫 SF 203)

宇宙創世記ロボットの旅 (ハヤカワ文庫 SF 203)

あらすじ
今は昔、宇宙にはまださしたる乱れもなく星はみな満天に整然と並んで、上下左右いずれの方向にもたやすく数えることができたころ、宇宙の空間には、星雲から舞い立つほこりや泥土や塵芥の影ひとつ見られなかった――そんなよき時代に、『無窮全能資格』優等免状をもった二人のロボット宙道士が、はるかな国のさまざまな種族に、温かい助言とささやかな援助の手をさしのべんと、流れる銀河に宇宙船を浮かべ、いさんで旅にでたのだが……。ポーランドSF界の巨匠スタニスラフ・レムが、現代文明への痛烈な批判を、シニカルな笑いのうちに詩的な文体で謳いあげた珠玉の名篇!

雲の上の天才・レムが、我々凡人の地面にまで少し降りてきてくれて、天才ギャグをご披露していただけたー!!ロボット宙道士であるトルルとクラパウチュスのコンビが、宇宙の様々な惑星を旅して、行く先々の王様の無理難題をサイバネチックスひみつ道具で解決したり、さらなるドタバタ混乱を巻き起こしたり。短い寓話の連作短篇で、同じくレムの『泰平ヨン』に似た作風だが、より文明批判などを薄くしたエンタメ。ひみつ道具や宇宙の現象を科学的なレム造語で煙に巻く笑いは独特。それに対応した翻訳も素晴らしい。未来のお伽噺。楽しい。白眉は、ラストの「トルルの完全犯罪 ―第七の旅―」。わずか15ページほどの、フェッセンデンの宇宙の変奏だが、小宇宙の住人と自分の宇宙への対比と思索が深い。
ちなみに、本書は2007年に復刊されてたらしいが、オレの持ってるのは古本市で買ったぼろぼろの初版。名前の表記が「スタニスワフ・レム」じゃなくって「スタニス「ラ」フ」になってるやつw

  • 哲人『弘袤大師』の罠 ―第一の旅―
  • 詩人『白楽電』の絶唱 ―番外の旅―
  • 獣王『残忍帝』の誘拐 ―第二の旅―
  • 竜の存在確率論 ―第三の旅―
  • 汎極王子の恋路 ―第四の旅―
  • 舞踏王の戯れ ―第五の旅―
  • コンサルタント・トルルの腕前 ―番外の旅―
  • 盗賊『馬面』の高望み ―第六の旅―
  • トルルの完全犯罪 ―第七の旅―

★★★★☆