くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

眉村卓『消滅の光輪(2)』

あらすじ
太陽新星化にともなう全住民退避という課題を与えられた惑星ラクザーンの司政官マセは、かざりものの司政官から、絶対権力者たる司政官へと変貌をとげた。そして、緊急事態対策会議を乗りきり、住民投票により移住先を決定することに成功する。投票日当日、ロボット官僚から次々に送られてくる投票経過報告。だが、先住者ラクザーハはひとりとして投票場に現われない。結局、投票は植民者だけで終わった。やがて、ラクザーハ説得のため、マセは科学センターのランとともに先住者居住区を訪れたのだが……泉鏡花文学賞受賞に輝く眉村SFの白眉。

連邦経営機構から任命された植民惑星を統べる司政官・マセが、太陽の新星化による惑星ラクザーン消滅の危機からどう住民を助けるのか…。ということで、第二巻。ついに会見で住民に新星化を発表し、緊急指揮権を発動。しかし問題山積み。移民費用捻出のための徴税、何者かによる扇動からの暴動、通貨増発と惑星危機からのインフレ、権限の及ばない連邦軍の動向、人類と違う価値観の先住者。様々な問題が重層的に書かれることで、混乱の極致を見事に描ききっている。はたして司政官に捌き切れるのか。緊張感を保持したまま、最終第三巻へ。