くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

スティーヴン・バクスター『天の筏』

天の筏 (ハヤカワ文庫SF)

天の筏 (ハヤカワ文庫SF)

あらすじ
重力定数が10億倍の宇宙に迷いこんだ宇宙船乗組員の末裔たちは、呼吸可能な大気に満たされた〈星雲〉で生き延びていた。彼らは宇宙船の残骸である円盤状の筏〈ラフト〉を中心にして社会を形成し過酷な環境に耐えてきたのだが、〈星雲〉の寿命が残り少なくなったいま、人々の命運も尽きようとしている…。この危機を打開すべく、勇気と好奇心にあふれる少年リースの冒険が始まった。ハードSFの気鋭が放つ、長篇第1作。

この宇宙とは別の宇宙に迷い込んだ人類の移民船の末裔たちの末路を描いたハードSF。この別の宇宙は、地球ほどの大きさで宇宙空間は大気に満たされており重力定数10億倍(not「重力」10億倍)という特殊環境。そしてもうすぐ終わる宇宙。このSFならではの特殊環境のおかげで異形の世界が広がっている。しかしストーリイは、主人公リースが世界を廻り宇宙の秘密を発見し突破口を開くという、オーソドックスな冒険物語。まあイギリスSFっぽく陰鬱なんで読むのに骨が折れましたわ。でもこの特殊環境の宇宙は想像力を刺激しますな。ってかこれ、《ジーリー・クロニクル》のはじめの物語なのに、こんな陰鬱でいいのか?第一の扉がコレじゃあ、客が離れていっちゃうだろ。
(追記:あと個人的には、流れ上で葬儀の夜とかも会場で読むことになったので嫌な思い出が残ってしまった)
★★☆☆☆