くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

豊田有恒『モンゴルの残光』

モンゴルの残光 (ハルキ文庫)

モンゴルの残光 (ハルキ文庫)

あらすじ
成吉思汗紀元838年、世界は征服者たる黄色人種と被征服者の白色人種に二分されていた。支那本土に築かれた強大な元帝国では、白人は奴隷と化していたのだ。白人シグルト・ラルセンは、圧制に喘ぐ人々が作り出し秘密結社「黒耶蘇」に身を置き、日々高まる抵抗運動の激しさを感じていた―。元帝国支配の歴史を改変すべく、シグルトは、時航機『刻駕』を駆って十四世紀の元へと旅立った!著者畢生の傑作長篇SF。

モンゴル帝国が全世界を手中に収め黄色人種優位な歴史改変世界で、奴隷のように扱われている白人の一人であるシグルトがタイムマシン《刻駕》を奪って十四世紀の「元」へと向かい歴史を変えようとして時代の波にのまれてゆく、という熱いストーリイ。現代社会の白人優位主義を裏返したような設定で、人種の融和とは何かを焙り出すというテーマは、豊田有恒の真骨頂。元の歴史のうねりも、歴史小説のように手に取るように読ませる。豊田有恒の特徴が凝縮された一冊で大満足!!
★★★★★