
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2013/05/21
- メディア: 単行本
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あらすじ
一年ほど前からそいつは京都の街に現れた。虫喰い穴のあいた旧制高校のマントに身を包み、かわいい狸のお面をつけ、困っている人々を次々と助ける、その名は「ぽんぽこ仮面」。彼が跡継ぎに目をつけたのが、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら「将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト」を改訂して夜更かしをすることが唯一の趣味である、社会人二年目の小和田君。当然、小和田君は必死に断るのだが…。宵山で賑やかな京都を舞台に、ここから果てしなく長い冒険が始まる。
登美彦氏の病気による1年半の沈黙で、新作はどうなることやらと危惧していたが、完全なる杞憂でした!!今までのへんてこな作風にさらに磨きがかかったようにも感じた。「ぽんぽこ仮面」「大日本沈殿党」「無間蕎麦」など細かな言葉遣いがイチイチへんてこで楽しい。これこそ森見節!「閏房調査団」「下鴨幽水荘」「金曜倶楽部」など森見作品とのクロスオーヴァも楽しい。クライマックスの魔術的リアリズムで京都の街を包み込む手腕も、今までの森見節を更に洗練させたような幻想性で申し分ない。大団円ラストも、ぽんぽこ仮面の後継の着地点をにぎやかに終結させると同時に、宵山の祭りの終わりの静けさをシンミリと描くことによって余韻を残し、最高に仕上がっている。脱力なキャラクタたち(特に怠け者の主人公)もいい味で好き!
★★★★★