- 作者: 松尾由美
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2003/12/01
- メディア: 文庫
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あらすじ
東京都第七特別区、通称バルーン・タウン。人工子宮の利用が普通になった世界の中で、それでも敢えて母体での出産を望む女性たちが暮らす、あらゆる犯罪と無縁の長閑な別天地―の筈なのに、なぜか事件は次々と起きる。前代未聞の密室トリックや暗号「踊る妊婦人形」など、奇妙な謎に挑む妊婦探偵・暮林美央の活躍を描いて賞賛を受けた松尾由美のデビュー作。シリーズ第一弾。
人工子宮が普及した未来というSF設定のもと、自然妊娠を希望する妊婦だけが集まって暮らす東京の特区を舞台にしたミステリ。ハヤカワSFコンテストに入選しハヤカワ文庫JAから刊行された作品だけあって、秀逸なSFミステリとなっている。殺人や密室のトリックや動機も、しっかりこの特殊SF設定の上に立ったもので、精緻に作られおり素晴らしい。また「亀腹同盟」「なぜ助産婦に頼まなかったのか?」など古典ミステリを上手く本歌取りしているところもニクイ演出だ。妊娠・出産・育児など女性について考えさせられるジェンダーSFでもある。
- バルーン・タウンの殺人
- バルーン・タウンの密室
- 亀腹同盟
- なぜ、助産婦に頼まなかったのか?
- バルーン・タウンの裏窓
★★★★☆