円居挽『烏丸ルヴォワール』

烏丸ルヴォワール (講談社BOX)

あらすじ
京都の支配にもかかわるという謎の書『黄母衣内記』の所有者が不審死を遂げ、二人の弟の間で書を巡って争いが勃発。名門、龍樹家の若き論客たちは、依頼人から仕事を受け、私的裁判双龍会に臨む。ところが、瓶賀流は覆面をした正体不明の怪人“ささめきの山月”に誘われ、御堂達也ら龍樹家側の仲間たちと対決することになってしまう…。

『丸太町ルヴォワール』のシリーズの第二弾。京都で秘かに語り継がれている私設裁判・双龍会。嘘偽造も何でもありでとにかく聴衆を理論的に納得させたほうが勝ちという、変則法廷劇。今回も視点がめまぐるしく転換し、読者を幻惑させ、アクロバティックなどんでん返しを堪能した。架空の設定の構築って作者の独りよがりのお寒いものになりがちだけど、ルヴォワールはぎりぎりのバランス感覚で素晴らしく魅力的で幻想的な京都だ。ルヴォワールは全四部作らしく、第三部『今出川ルヴォワール』は来月発売らしいので、凄く楽しみ。
★★★★★