くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

大森望責任編集『NOVA8』

あらすじ
オリジナル・アンソロジー《NOVA》の第8巻をお届けする。原液以上に濃い超高濃度本格SF--長編10冊分のSF成分が凝縮された超弩級の脱獄SF、山田正紀「雲のなかの悪魔」--から、SF成分が1リットルあたり分子1個程にまで希釈されたギャグ小説まで、お好みに合わせて服用ください

白眉は松尾由美「落としもの」かな。火星SFで猫SFなら読むしかないでしょ。山田正紀「雲のなかの悪魔」の重量感もいい(けど全ては理解できてない)。しかもサイバーパンクっぽい文体もカッコイイ。北野勇作「大卒ポンプ」は期待してたけど、駄洒落のワンアイデアだったのでチョット消沈。逆に青山智樹「激辛戦国時代」は最高にくだらないがキライじゃないよ!飛浩隆の二作も(飛作品苦手派だが)情報理論が素晴らしい。友成純一と片瀬二郎のホラー二作は、もっとSFよりの展開にしても面白かったかもしれないが、ホラーでも好きかも。東浩紀のシリーズは、天皇制を自分の小説のうえの玩具のように扱っていて終始嫌悪感。粕谷知世は、アイデアの調理法が凝っていて楽しかった。

あっぱれあっぱれ、大卒ポンプ! ……あり得べき近未来社会を描いた巻頭作

情報環境へのアクセスが保障された時代にて--天才詩人アリス・ウォン、誕生

紫の海の砂浜で拾った人間の眼鏡は、どこから落ちてきたの?

  • 粕谷知世『人の身として思いつく限り、最高にどでかい望み』

弟が連れてきたのは、望みを何でもかなえてくれる神だったんだ

  • 青山智樹『激辛戦国時代』

日本人の味覚に激辛が訪れたとき、歴史は動いた

一月三日夕刻、福岡県春日市に恐怖の噛み付き女、現る!

  • 片瀬二郎『00:00:00.01pm』

時間の静止した世界に閉じこめられた男が狂気とめぐりあう

クールでシャープな生まれついての革命少女、難攻不落の流刑星より大脱走

朝日が差し初め、盤面を奪い合うゲームが始まった--天才詩人アリス・ウォン、五歳

娘ときみを救うため、ぼくは時空を超えた--ひとつの火星の物語が終わる
★★★☆☆