くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

桜庭一樹『青年のための読書クラブ』

青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

あらすじ
東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の〈クラブ誌〉があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた――。今もっとも注目の奇才が放つ、史上最強にアヴァンギャルドな“桜の園”の100年間。

今まで読んだ桜庭作品(ラノベ時代の諸作)より、流れるような文体で非常に読みやすい。少女テーマの作品を数数書いているが、本書はその中でもミッション系の女子高が舞台。学園内の読書クラブにまつわる100年にわたる年代記が当事者の記す部誌の形で重ねられ、それぞれの時代の女学生の歪んだ情熱が不思議な世界を構築している。支配者階級に対抗するために庶民を偶像に仕立て上げる少女、血統の支配層に革命を起こし敗走するバブル成り上がり層の少女、同年代の少女同士の強烈な連帯感とそれを裏切られたときに反動する少女、どれもあらぬ方向だがエネルギッシュで滅法面白く読ませる。でもサムワンとかエスとか(同性愛的少女同士の連帯感)は、本当に男には踏み込めない世界だ。あと何故か脳内BGMで♪潔くカッコ良く明日からは誰もが振り向く女になる♪って流れてきた(笑。
(追記:あとどうでもいいけど、先先月に入院してた病棟の談話室になぜかこの本が置いてあった。あの病棟って泌尿器科が中心で老人ばっかりなのに、この本読むようなやついないだろ。あの本棚のセレクトは誰がしてるんだろ?看護婦さん?)

★★★★★