- 作者: ロバート・ネイサン,大友香奈子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/05/23
- メディア: 文庫
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あらすじ
1938年、冬のニューヨーク。貧しい青年画家イーベンは、夕暮れの公園で、一人の少女に出会った。数日後に再会したとき、彼女ジェニーはなぜか、数年を経たかのように成長していた。そして、イーベンとジェニーの時を超えた恋が始まる…詩人ネイサンの傑作ファンタジイ。妻を亡くした童話作家とその子供たちの、海の精霊のような女性との交流を描く『それゆえに愛は戻る』を併録。
梶尾真治の「時尼に関する覚え書」が大好きで、恩田陸の『ライオンハート』も興味深く読んだので、大元のオマージュ元へ。友人が読もうと誘ってくれたので、ついに手にとった。児童書版でお茶を濁そうかと思ってたところのお誘いだったが、こちらを手にとってよかった。はじめこの本「創元SF文庫」かと思って、理論を重視して読んでたんだけど、それだと肩透かしをくらう。しかし表紙をよく見直して「SF文庫」じゃなくって「推理文庫」のファンタジーマークだと気づいてからは、中中のめりこんで読んだ。幻想性が豊かで美しい物語が不思議と印象に残る。特に悲恋を覚悟した主人公の「ぼくたちは美しさを共有していた。決してそれを失うことはない。」との姿が気高く美しく感動した。これは上の二人がオマージュしたのも分かる。『ライオン』は、「ジェニー」の幻想的な空気感はそのままに、日本的な輪廻転生を西洋の話に換骨奪胎し再現していると分かり、自分の中で再評価。「時尼」は、「ジェニー」のシチュエーションの幻想性をうまく時間SFの理論性に練り直ていたと分かり、今まで以上に素晴らしさを再認識した。読んだ甲斐があった。
- ジェニーの肖像
- それゆえに愛は戻る
★★★☆☆