読んだ本の数:115冊
読んだページ数:34386頁
- 第一位 森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』
祝・日本SF大賞。レムの『ソラリス』のオマージュなので合わせて読んだ。『ソラリス』は結構鬱陶しい話だったけど、合わせて読むことで、海の正体が浮かび上がってきたり、少年&おねえさんがケルビン&ハリーとオーバーラップしたりと、興味深い。ラストの切ない空気も今までの森見作品からいい意味で裏切られた。
細かく見たら突っ込み所もないではないんだけど、やっぱり時間SFと恋愛ロマンスとの相性は抜群。手紙のシーンで涙した。
- 第三位 フェリクス・J・パルマ『時の地図』
時間SFとしての予想をことごとく裏切るストーリイと、最後に時間SFとして収束のさせ方に心底楽しんだ。ヴィクトリア朝の無駄な描写も良い。時間SF好きこそ楽しめるアンチ時間SF。
- 第四位 山本弘『詩羽のいる街』
人と人のつながりっていいなあと偽善ナシで思わせる良作。普通の人が読んでも気にならないように配慮しながらもサブカルネタを盛り込んでるところも良い。
- 第五位 梓崎優「スプリング・ハズ・カム」(『放課後探偵団』収録)
もう戻らない学生時代を思い、はじめから胸が締め付けられるが、ラストでさらに胸が締め付けられる。イラストもストーリイと共鳴しており凄く良い。
- 第六位 ハリイ・ハリスン『大西洋横断トンネル、万歳』
ストーリイは大したこと無いが、ヴィクトリア時代の影響が色濃く残ったスチームパンク設定が凄く好き。
- 第七位 米澤穂信「ナイフを失われた思い出の中に」(『蝦蟇倉市事件2』収録)
『ふたりの距離の概算』とどちらにしようか迷ったけど(『折れた竜骨』はまだ未読なので)、太刀洗が好きなのでこちらをランクインさせておく。結局、俺って米澤作品をキャラ小説としてしか読んでないのか。。。今年は米澤穂信講演会に行って先生と少し話せた事も大きな思い出となったなあ。
- 第八位 ステファニー・メイヤー『トワイライト8』の317頁
甘い言葉で全身が脱力した体験なんてはじめて(俺、男なのに)。俺の中では、全13巻はこの頁のためにあると言っても過言でない。
- 第九位 武者小路実篤『友情』
美しい小説。友情と恋愛の相克。
高校生のもやもやした細やかな心境を素晴らしく爽やかなラストで書き上げてる。もう恩田陸はこの1冊だけで良い。
- 次点 C・L・ムーア「地球の緑の丘」(『暗黒界の妖精』収録)
詩。宇宙時代の悲哀を読み込んだセンス・オブ・ワンダーあふれる作品。《ノースウェスト・スミス》のシリーズはどうせ宇宙美人局の話ばかりだから、「シャンブロウ」とこの詩だけ読めばいい。
あと特筆すべきは、『フルメタ』が遂に完結しちゃった事と、光瀬龍の本質は「東洋的無常観(キリッ」じゃなく「萌えキャラ」だと発見した事と、下鴨納涼古本まつりに行った事くらいかな。それでは様々な思い出と共にさよなら2010年、来年も楽しい読書が出来ますように。