テッド・チャン『あなたの人生の物語』

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

現代SFにおいてグレッグ・イーガンと双璧をなすと言われるテッド・チャンの短編集。この人の作風って、SFって言うより、その時代の人が書いたお話って感じ。なんか上手く言葉になってないけど、「バビロンの塔」ならバビロニア人が書いた話、「七十二文字」ならヴィクトリア朝の人が書いた文章。でもどの作品もラストが弱いような、いや凄い事は凄いんだけど。自分的にはやっぱりイーガンの方が好き。
お勧めは「理解」「地獄」「美醜」。

• バビロンの塔

関係ないけど、バビロニアSFって聞いたらコスモ・バビロニア貴族主義が何故か頭の中にこびり付いて離れない。
これはそんなに評価高くないだろ、と思ったら評価されてるみたい。どっかで見た意見だけど、これショートショートネタだろ(「おーいでてこーい」的な)。

• 理解

凄く良い。脳の能力を限界まで向上させた人のシュミレートが細部に亘って描写されていて感心した。

• ゼロで割る

何か知らないけど『ef』思い出した、構成的にかな?ただ、今『ef - a tale of melodies. 』見てたからだけかも。
数学SFではイーガンの「ルミナス」の方が好き。こっちの方が分かりやすいけど。

• あなたの人生の物語

ファーストコンタクト。言語SF。よく覚えてないけど山本弘のとか「象られた力」とかあまり言語SFには惹かれなかったけど、こういう言語SFは素晴らしい。
関係ないけど、エイリアンのビジュアルから《ジェイムスン教授》シリーズ激しく読みたくなった。『二重太陽系死の呼び声』『放浪惑星骸骨の洞窟』『惑星ゾルの王女』『双子惑星恐怖の遠心宇宙船』どこかに落ちてないか。

• 七十二文字

歴史改変SF。錬金術。あまり乗り切れなかった、精子と卵子に関しての常識が邪魔をして。常識にとらわれない発想っていうのは凄いと思う。

• 人類科学の進化

ショートショート。超人類知性体と共存する人類の科学コラム。よく覚えていません。。。

• 地獄とは神の不在なり

宗教って、幸運は神の恵みで不幸は神の試練って都合の良い解釈するから胡散臭いよな。その幸運と不幸を天使と言う形で分かりやすくしたと解釈。作者ってキリスト教徒?

• 顔の美醜について―ドキュメンタリー

「※ただしイケメンに限る」を思い出した。
なんか真面目に感想書く気起こらなかった。次回、真剣に書きます。
評価:★★★★☆