くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

奥泉光『鳥類学者のファンタジア』

鳥類学者のファンタジア

鳥類学者のファンタジア

これは凄く好き。傑作!!何よりフォギー*1可愛すぎ。全編フォギーの口述という形の文体なんだけど、自分のことをフォギーって呼んでる所が激しく萌える。「フォギーは○○な女なのだ」みたいな。あと至って暢気な性格とかトイレの場所ばかり気にする所とか兎に角すべてに惚れた*2。文体といえば、一文一文が長すぎると思うんだけど、これは奥泉スタイルなのかフォギーの雰囲気を出すためにわざとやっているのか。
こんなに傑作なのに日本SF大賞でも『SFが読みたい!』でも北野勇作『かめくん』に負けてるのは納得できないな。特にこんなの読んだら余計に納得できない。『かめくん』は『かめくん』で北野作品の中の傑作だと思うけど。因みにこの年の星雲賞野尻抱介『ふわふわの泉』。これは名作。大好き。
話を戻して、あとロンギヌスの槍(石)とかナチスとかオカルトネタが盛り込まれてる所も好きになった要因かな。昔『スプリガン』とか読んでたの思い出した。確かナチスと聖杯伝説の話あったよね。
SF部分に関しては、タイムトラベル大好物なのは勿論として、暗黒物質まで出てくるなんて。あとタイムトラベル+猫は『夏への扉』へのオマージュかな。
最後に『鳥類学者のファンタジア』っていうタイトルの意味が理解できない。鳥の学者なんて出てないし。ジャズと鳥類って何か関係あるとか?まぁ語感は凄く良いけど。
評価:★★★★★

*1:主人公

*2:と言っても36歳の若干目の離れた女なのだが。逆にそれも良いが。