くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

薄禍企画『ひとひら怪談[水]』『ひとひら怪談[影]』


ひとひら怪談[水]
作者:薄禍企画
出版社/メーカー:薄禍企画
発売日:2021/05/16
メディア:新書判

ひとひら怪談[影]
作者:薄禍企画
出版社/メーカー:薄禍企画
発売日:2022/05/29
メディア:新書判

ひとひら怪談[水]』

  • みまちがい(岩城裕明)
  • 潜水(浅倉秋成)
  • 二万哩はまだ遠く(ササクラ)
  • さよならのかわりに(杳芽具見)
  • Y不動産にて(津久井五月)
  • 三途の禁(堀井拓馬)
  • Summer Of Katabiragawa 1993(矢部嵩)
  • ガリの自負(藍内友紀)
  • たとえ出会いが水商売でも(白井智之)
  • 水が採れる(百壁ネロ)
  • 一匹(浅倉秋成)
  • 空き地(円山まどか)
  • 怪談蒐集の最中(澤村伊智)
  • 水霊(織守きょうや)
  • 僕が、剝いであげる(篠たまき)
  • 神託(堀井拓馬)
  • 命の証明(藍内友紀)
  • 君よ胃酸の河を渡れ(白井智之)
  • 水が気になる(百壁ネロ)
  • 第三公園(円山まどか)
  • 井戸の底(篠たまき)
  • 半地下の妻(ササクラ)
  • 届けもの(織守きょうや)
  • すいぞくかん(岩城裕明)
  • 夜の川(矢部嵩)

ひとひら怪談[影]』

  • グッバイ(矢部嵩)
  • 相園瑞樹とその影(岩城裕明)
  • 影の国(堀井拓馬)
  • 狭間の村(ササクラ)
  • 書き置き(澤村伊智)
  • Mさんのカルテ(円山まどか)
  • 眼中に(織守きょうや)
  • 皮膚の花園(篠たまき)
  • 夜色の子供たち(藍内友紀)
  • 右手か影か(円居挽)
  • 一割負担(津久井五月)
  • 橋の下の王国(白井智之)
  • 影で支える人(百壁ネロ)
  • 沙夜香さまの眷属(津久井五月)
  • 月蝕(堀井拓馬)
  • 五百円(浅倉秋成)
  • 影踏み鬼(ササクラ)
  • かげたらし(澤村伊智)
  • 学者と影(織守きょうや)
  • カツジの恋(白井智之)
  • 小林先生のテーマ(矢部嵩)
  • 絶望指南(円山まどか)
  • 影響力の人(百壁ネロ)
  • 魔(円居挽)
  • 海底の笛吹き(藍内友紀)
  • 大きな黒い蝶(篠たまき)
  • とあるバタフライ効果(岩城裕明)

文フリ大阪でgetした本。見開き1ページのショート怪談アンソロジー。プロの方が寄稿されてるだけあって、どれも凝った怖さ!
まずは『ひとひら怪談[水]』!テーマの水ってなんか不気味よね。浅倉秋成「一匹」円山まどか「空き地」織守きょうや「水霊」堀井拓馬「神託」藍内友紀「命の証明」百壁ネロ「水が気になる」ササクラ「半地下の妻」織守きょうや「届けもの」(敬称略)あたりが怖くてお気に入り。特に藍内友紀先生と織守きょうや先生はどれも本当に上手くて、長編も探して読みたい!
次に『ひとひら怪談[影]』!こちらは最新刊。これまた色々な方向性で色々な怖さ!テーマは影。理屈があって怖かったり、ストレートに怖かったり。藍内友紀「夜色の子供たち」津久井五月「一割負担」百壁ネロ「影で支える人」津久井五月「沙夜香さまの眷属」浅倉秋成「五百円」澤村伊智「かげたらし」織守きょうや「学者と影」円居挽「魔」(敬称略)あたりがストライクにきた!浅倉秋成先生や円居挽先生が好きな作家さんだったから本書にたどり着いたんだけど、また違う方向性で良かった!あと津久井五月先生がどの作品も上手くて気になった。長編も探してみよう。
薄禍企画さん、新たな出会いがいっぱいあって、いい企画でした!

暇屋乃戸『スイート・スイート・テラリウム』

スイート・スイート・テラリウム
作者:暇屋乃戸
出版社/メーカー:暇屋乃戸
発売日:2022/06/25
メディア:コピー本

友達でも恋人でもなかった中学時代の同級生。「僕」と田沼詩織は数年越しに夜の街で再会する。昔と変わらないところ、大人になったところ。2人のひと夏の邂逅と、小さな前進を描いた短編。

文フリ大阪でgetした本!
なんか静かだけど心にくる話だった!
居酒屋で働く主人公。仕事後の夜の街でたまたま元同級生、田沼詩織と再会。中学時代の二人の思い出をカットバックしながら、これからどう進むかが描かれる。
この中学時代の二人の描き方がなんか良い空気感だった。お互い家族関係で影がありながらも、それを薄々分かりつつ軽く語り合う。捻くれた気遣い。センチメンタルで心に刺さる。
表題の、テラリウムの瓶に入ったお菓子の比喩も、共感。大事な物を置きすぎてダメにするタイプだから。
ラストの二人の会話も、この二人らしくていい。また外の世界で再会してほしい。
オマケの幕間も、詩織側から見た中学時代の会話シーンで、いい雰囲気。
読むほどに二人の思いを思索してしまう、短文では感想書けない色々考えられる作品でした!また他の作品も読んでみたい。

ジグソーさんで光瀬

ジグソーハウスさんの通販にて。

盛林堂ミステリアス文庫『光瀬龍ジュヴナイルSF未収録作品集』が届いた〜!文フリ東京で何年か前に出てたやつ!ジグソーハウスさんであったからゲッターしちゃった!なんでも『夕ばえ作戦』の第二部というレア物が載ってるらしい!?ほかにも未書籍化作品がいっぱい!やった〜!

汐江アコ『ウォーターガールシンドローム』『ウォーターガールシンドロームホット』


ウォーターガールシンドローム
作者:汐江アコ
出版社/メーカー:まりあ骨董
発売日:2018/07/16
メディア:文庫判(A6)
https://www.pixiv.net/artworks/69508846

飲み物×女の子=最強。
ということで、ドリンクと女子をテーマとした百合的短編集です。
夏ならではのサイダーの爽やかさ、麦茶の安らぎ、冷やした日本酒と彼女の顔、はじめてをつなぐスポドリ、何はなくても夏は黒ラベル。同級生女子、社会人年の差、居酒屋で会った一見さん、先輩と後輩、そしてバカをやるのが好きな大学生。
飲み物を通した女の子二人の夏物語……。


ウォーターガールシンドロームホット
作者:汐江アコ
出版社/メーカー:まりあ骨董
発売日:2021/12/31
メディア:文庫判(A6)
https://www.pixiv.net/artworks/94858579

女の子×飲み物=最強 のコンセプトのもと、製作した『ウォーターガールシンドローム』の続編。
ホットの名の通り、今度は暖かい飲み物と女の子がテーマ。
今回は、ココア・お茶・熱燗・カフェオレ・甘酒をチョイスしました。
一部前作の続きもありますが、基本独立して読めるようにしています。
全部6Pの短編なのでサクサク読みたい人にもおすすめ!

亮人::どぅおもー!漫才風読書感想で〜す!
使い魔・ゲンキ君::今回は、文フリ大阪でgetした本だガル。
亮人::「まりあ骨董」という北海道のサークルの、汐江アコさんによる『ウォーターガールシンドローム』と姉妹編の『ウォーターガールシンドロームホット』やな!
ゲンキ君::爽やかな表紙だガルね!
亮人::そうそう!文フリ大阪の公式サイトのネットカタログでこれを見て、ヒト目で買うと決めたんよ!
ゲンキ君::いい表紙だガル。
亮人::そして内容もネットカタログでメッチャ気になってたねん。そしてその期待通り、メッチャ内容も良かった!
ゲンキ君::まずは『ウォーターガールシンドローム』だガル。夏の飲み物と女子がテーマの短編集。
亮人::そう、この関係性!それぞれ女子二人の関係性の切り取り方がどれも絶妙なんや!よくこれだけのシチュエーションを描いてくれた!関係性にキュンとくるやん!やっぱ萌えは関係性よ!!
ゲンキ君::熱く語るガルね?
亮人::ほんまにこの萌える関係性、素晴らしいんよ!!作者さんのセンス最高やな!
ゲンキ君::それでは各話の感想も箇条書きで貼っておくガル。

  • 「陽炎サイダー」

別の会社だけど同じビル。屋上でたまたま会った二人。しかし片方の会社がなくなって。ひとときの憩いの関係だったのに、不在による心の穴は大きくて。幻のような不在を夏のサイダーの泡に例えるのいいね。こういう突然の不在ありがち。

  • 「香る夏と痛みと」

高校最後の夏休み。夏休みには麦茶が似合う。そして浴衣を着せるという話に。高校生にとって浴衣はそういう意味合いのアイテムだったんだ!?たしかに。これは心がヒリヒリする。

  • 「おさけのちから」

社会人二人が飲み屋で意気投合。ただの酔っぱらいではない理知的な二人で、こういう大人の仲の縮まり方いいな。

  • 「無自覚ランナー」

高校の校庭。陸上部の先輩と吹奏楽部の後輩。先輩の天然の人たらしな行動にドギマギする後輩。ほんまこの関係性よ!一番好き!

  • 「甘くなれ、ビア」

大学4年。悪友とも離れ離れになる年。その切なさを明るく切り取って本当に上手い!
以上。いい夏のシーンを味わえました!

亮人::いやーほんまに良かったな!どの話も女子同士での距離感が絶妙やねん!距離が近づく瞬間の切り取り方がもうほんま!ええ百合小説やわ。
ゲンキ君::次に姉妹編『ウォーターガールシンドロームホット』だガル。
亮人::前作と同じコンセプトで、今度は冬のホットな飲み物と女子やな!ホットと付いただけに、女子二人の関係性もさらにホットや。百合成分もより強くなって、ええやん。淡い関係性もええけど、こっちもメッチャ上手い!
ゲンキ君::それではこちらも各話感想の箇条書きガル。

  • 「こえるココア」

幼馴染で社会人になっても一緒に住むシェアハウス。幼馴染だけあってもう以心伝心でいい関係。

  • 「雨に誘われて」

雨に降られた女子高生を助けた着物美人の大学生。こういう年の差を描くのがほんとにいい!ベスト短編!

  • 「熱燗アンダンテ」

前作の飲み屋の二人の続編。まさか二人の仲が進展してたとは!こういう繋がってるの楽しくていいよね!

  • 「刻愛の薫香」

タトゥー彫師と客だった二人が同棲。こういう甘美な関係も描くんだ!さすがホット!

受験前の二人のモヤモヤとした不安と、そのあとの卒業後には離れ離れになるという焦燥。思春期!ほんまにカテゴライズできない気持ちを描くの上手い!

亮人::以上。『ホット』もいろんな関係性の機微を堪能したわ!ほんまに、ええシリーズやったわ!
ゲンキ君::大満足だったガルね!
亮人::ほんま作者さん、北海道から参戦してくれて、ありがとうや!ほんでサークルブースで買ったときにオマケで北海道のお菓子も付けてくれたし!
ゲンキ君::大感謝!
亮人::それでは、最後に漫才風読書感想らしく「謎かけ」で〆るわw
ゲンキ君::また突然だガル。
亮人::「本書のタイトル」とかけて!「過重労働」ととく!
ゲンキ君::そのこころは?
亮人::どちらも「しんどろーむ(シンドローム/しんどー労務)」で「終わる」でしょうwwおあとがよろしいようで!!
ゲンキ君::こんな爽やかな短編集のときに、過労死しちゃダメでしょ!?
亮人::すんません。撤回します。謝罪。
ゲンキ君::今日はえらい素直に撤回するガルね?
亮人::「ウォーターガール」だけに、水に流したがーるーwwってね!
ゲンキ君::もうやめさせてもらうわん!ガルガル!!!

文フリ大阪でベスト~オフで審判~高島屋

文フリ大阪、いってきたぞ〜!メッチャ買ってしまった!

  • 京都大学推理小説研究会『フーダニット・ベスト Vol.6』
  • 京都大学SF幻想文学研究会『WORKBOOK114』
  • 薄禍企画『ひとひら怪談[水]』
  • 薄禍企画『ひとひら怪談[影]』
  • ラヴィ・ティドハー『金星は花に満ちて』
  • ハンヌ・ライアニエミ『テュケーと蟻』
  • 甲影会シャレードヌーボゥ』「No.14石持浅海特集」
  • 甲影会シャレードヌーボゥ』「No.16三木笙子特集」
  • 白樺あじと(シーラカンス・バカンス)『流されないように』
  • 白樺あじと(シーラカンス・バカンス)『ロング・エスケープ』
  • 白樺あじと(シーラカンス・バカンス)『Caterpillar Song』
  • 汐江アコ(まりあ骨董)『ウォーターガールシンドローム
  • 汐江アコ(まりあ骨董)『ウォーターガールシンドロームホット』
  • 名江ゆうな(プロキシマ)『ディア・プロキシマ』「第一部 灰都・イギリス編」全3冊
  • 搗鯨或(群逢書房)『キボウ』
  • 搗鯨或(群逢書房)『「幸運を」と君は言った』
  • 夏衣優綺(文学カフェ『お菓子の家☆第三位相』)『ペルシャの嘘』
  • 暇屋乃戸『スイート・スイート・テラリウム』
  • 風野湊(呼吸書房)『紙飛行機に眠る月』
  • 風野湊(呼吸書房)『彼らは唯の夢』
  • 中村幽子(摩天幽谷企画)『レジン豆本 くじラ!』
  • 汽水域観測船『時間百合SFアンソロジー

今回はコロナ禍の行動規制がなしになって最初の文フリ大阪ということで、すごい人出だった。開場前から何十人も待機列ができてたし、入場規制も少しだけあったらしい。総入場者数も過去最高だったらしい。熱気がすごかった。
京都大学推理小説研究会さんの『フーダニット・ベスト Vol.6』!京大ミス研で定期的に行われている犯人当てミステリ短編の創作発表。その短編ベスト盤。『Vol.5』も前に買ってて読んで面白かったから、今回もゲッター!かなり分厚いので心して読もう。
京都大学SF幻想文学研究会さんの『WORKBOOK114』!最新号の『115』には翻訳作品まで掲載されてるらしいが、既刊『114』は創作短編のテーマが「怪獣」だったのと「円城塔おすすめ単著レビュー」が気になって、こちらをゲッター!
薄禍企画さんの『ひとひら怪談[水]』『ひとひら怪談[影]』!写真と見開きサイズのショート怪談が載った本。執筆陣が豪華で、編集もしてるササクラ(藍内友紀)先生を筆頭に、円居挽浅倉秋成織守きょうや澤村伊智白井智之津久井五月矢部嵩etc(敬称略)
はるこんSFシリーズから、ラヴィ・ティドハー『金星は花に満ちて』とハンヌ・ライアニエミ『テュケーと蟻』!関東のSFイベントで毎年呼ぶ海外ゲストの本を同人翻訳で出す企画のやつ!今年のニーヴンより、欲しかったやつを優先してゲッター!
甲影会さんの『シャレードヌーボゥ』の「No.14石持浅海特集」と「No.16三木笙子特集」!前に逃してた「No.26円居挽特集」を探してたら品切れらしく、ショック!そしたらこれらを頂いてしまった!どちらも気になる作家さんだから心して読みます!
シーラカンス・バカンスの白樺あじとさんの『流されないように』『ロング・エスケープ』『Caterpillar Song』!初めての文フリで買って即ファンになったサークルさん。の新刊!日常の謎ミステリも、本格ミステリも、本当にいいミステリばっかり!推し!
まりあ骨董の汐江アコさんの『ウォーターガールシンドローム』『ウォーターガールシンドロームホット』!飲み物と女子をテーマにした短編集。爽やかな表紙に惹かれてゲッター!北海道から参戦らしく地元お菓子もオマケで頂いた!お疲れさま&Thanks!
プロキシマの名江ゆうなさんの『ディア・プロキシマ』の「第一部 灰都・イギリス編」の全3冊!スチームパンクな世界観でメッチャ好みだとネットカタログの時点で目をつけていた本!第二部「ユトレヒト編」もゲッターしておけば良かったかと今後悔。
群逢書房の搗鯨或さんの『キボウ』『「幸運を」と君は言った』!地球消滅を前にした若者と夜。なんか雰囲気に惹かれてゲッターした!次回作の先行第1話のも付けてくれた。ありがとうございました!
文学カフェ『お菓子の家☆第三位相』の夏衣優綺さんの『ペルシャの嘘』!誤発注の謎を探るミステリ。ネットカタログの時点で、謎の真相が気になったのでゲッターした!タイトルも気になるし。
暇屋乃戸さんの『スイート・スイート・テラリウム』!ネットカタログの「中学のときの同級生とのひと夏の邂逅」というセンテンスに惹かれてゲッター!
呼吸書房の風野湊さんの『紙飛行機に眠る月』と『彼らは唯の夢』!頼まれて代理でゲッターしたものやけど、パラパラと見てみたら幻想的で読んでみたくなったので先に読ましてもらおうかな。
摩天幽谷企画の中村幽子さんの『レジン豆本 くじラ!』!これも頼まれてゲッターしたもの!しかしこの細かな美麗な作りよ!頼まれものやけど袋開けさしてもらおかな?ニャンコのやつもあって、可愛いかったし!
汽水域観測船さんの『時間百合SFアンソロジー』!この大物の釣果!百合のブースで出店してたので全く気づいてなかったが、現地でハッシュタグ漁ってたら出てきて、慌ててゲッター!ハヤカワ文庫の『異常論文』に載ってた方たちが主催してるらしい。

そして帰りに買い物。難波のブックオフ高島屋ブックオフでは期間限定ポイントがあったので漫画を買った。高島屋では、御座候と551の豚まんとエビ焼売とブールミッシュの栗のシブーストというケーキを買って、帰宅。

久々に楽しい一日だったわ!