くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

古橋秀之『超妹大戦シスマゲドン(1)』

あらすじ
主人公・烏山ソラは、兄・サトルが謎の人物から受け取ったチョーカーを身に付けてしまい、サトルのコントローラ?で自由に操作されるようになってしまう。ソラの困惑をよそに、サトルはソラを操って大喜び。しかしそのチョーカーとコントローラーを狙って、獅子神ゲンドウとエリカの兄妹が襲い掛かる……。兄妹が織りなすスーパーバトルシスターストーリー!

妹をコントロールして超パワーを発揮させられるというイモート・コントローラーをひょんなことから手に入れるという、お決まりのフォーマットからはじまる妹バトルラノベ。上巻。しかし古橋秀之先生だからただのテンプレだけでは終わらず、放り込まれてくる小ネタがいちいち面白い。野獣妹からドリル妹、邪神妹、空戦妹に108人の騎馬軍団妹、格闘メイド妹、戦車妹。なんでもありの、よくここまでアイデアが出てくるな!ということで下巻にいきます!

林譲治『帝国海軍ガルダ島狩竜隊』

あらすじ
昭和19年1月、ビスマルク諸島北方に位置する小島、ガルダ島に航空基地建設の目的で上陸した、日本軍部隊があった。第369海軍設営隊―トラック島防衛というよりは、トラック島に対する被害極限のために、島に送りこまれた男たちである。だが、米軍の攻撃でトラック島は陥落。設営隊は敵の勢力圏内に取り残された。救出どころか、補給する届かない状況の中、設営隊の面々は自活を始めたが、食糧事情は劣悪だった。そんなある日、数人の兵士が穴の中に消えた。後を追った兵士たちは、その穴の先にある奇妙な世界にたどりついた。島の植生とは明らかに違う植物群。そして、そこにいたのは、想像の産物でしかなかった太古の絶滅動物―恐竜だった。

亮人::どぅおもー!漫才風読書感想で〜す!
使い魔・ゲンキ君::今回は、林譲治先生の『帝国海軍ガルダ島狩竜隊』だガル!
亮人::太平洋戦争中の南洋の孤島の話やな。
ゲンキ君::滑走路敷設のための部隊が、戦局悪化で孤立するガル。食糧不足の危機。そこで偶然見つけた穴。その先には超紐理論の超対称性世界があり、恐竜がいるんだガル!
亮人::そこで狩竜隊を組織して食糧を得るために進むんや!
ゲンキ君::ということで面白かったガルな!
亮人::序盤は戦局悪化の様子など戦史モノかと思いきや、中盤以降に怒涛のSF展開!こんな特殊な世界をよく設定したよな!
ゲンキ君::戦中にすでに超紐理論を思い付いていたという発想もすごいガル!
亮人::そしてそこからのこの新世界!これはやっぱりロストワールドからの着想ちゃうか?
ゲンキ君::そして恐竜!
亮人::恐竜とのバトルは意外にアッサリやったな。映画『ゴジラvsキングギドラ』でも日本軍と恐竜が戦いってあったけど、あれよりは凶暴さがなかったような。恐竜ってまぁまぁ弱いんやw
ゲンキ君::ただ恐竜の肉は美味しそうだったガル!
亮人::トリケラトプスは脂臭くて、ティラノサウルスは鶏肉のようで美味しいらしいで!?ええな〜食べてみたいやん!
ゲンキ君::ちなみにこの本、現在入手困難な品だガル。
亮人::現在の密林中古で5000円超になってるやん。数年前は、十数万なんて数値も出てたしな!?
ゲンキ君::こんな面白い本なのに!どこかで復活してほしい本だガルな〜!!
亮人::では今日はこのへんで終わりにしよか。
ゲンキ君::ちょっと待つガル!いつものネタで締めは?今日は逃がさないガル!恐竜の名前でネタ作ってもらうガル!できるまで帰さないガル!
亮人::そんな心の狭いこと。恐竜だけに「狭量」なw
ゲンキ君::そんなダジャレで騙されないガル!
亮人::恐竜の名前は、ラテン語がなんか知らんけど、ネタにしにくいんや。
ゲンキ君::ちゃんと恐竜の名前でネタするガル!
亮人::私の友人に一人、恐竜がおりまして。そいつが仏門に入ると言い出したわけです。
ゲンキ君::なにか始まったガル。
亮人::あるとき、私は出家した恐竜を訪ねて寺に向かうことにしました。「おーい、恐竜はいるかね?」しかし寺の扉は閉ざされており、中からも何の返事もありません。そこで私は、隣の家にどうなっているのか尋ねることにしました。「すいませーん。隣のお寺のことで尋ねたいのですが?」しかし隣の家も留守のようでした。
ゲンキ君::留守が多い町ガルね?
亮人::仕方なく、私は反対の隣の家に向かいました。「すいませーん。隣のお寺のことで尋ねたいのですが?」しかしこちらの家も留守のようでした。
ゲンキ君::留守ばっかりガル。
亮人::寺の両隣が留守。これはおかしい。寺の左右が留守。寺の左右留守。ティラノサウルスw
ゲンキ君::ってそれが言いたかっただけかーい!?
亮人::さらに私は町内の全部の家に尋ねて回りました。
ゲンキ君::まだ続きがあるガルか?
亮人::1軒、2軒、私は歩き疲れるほど、尋ねて回りました。
ゲンキ君::何軒くらい回ったガル?
亮人::正確な数字は定かではありませんが、町内の軒数はおそらく「10らしっく」wwおあとがよろしいようで!!
ゲンキ君::ちーん。もうやめさせてもらうわん!ガルガル!!!

ネトフで狩竜隊

ネットオフにて。

林譲治先生の『帝国海軍ガルダ島狩竜隊』をゲッターした!密林中古で6000円以上してるから躊躇ってたけど前から欲しかったやつ!100円で見つけた!超ラッキー!誕生日パワー?日本帝国海軍が南洋で恐竜と戦う話?架空戦記かSFか?面白そう!早速今日から読みはじめる!!
マッカーシイ『アグレッサー・シックス』も!異星人の侵略に対して、地球から潜入員を送り込んで異星人を解明しようって話らしい。言語SF?ワンコが活躍するなら、それでオッケー!

葵せきな『ゲーマーズ!(2) 天道花憐と不意打ちハッピーエンド』

あらすじ
美少女からのゲーム部勧誘を拒否し、相性抜群のゲーマー少女とは大喧嘩をかます―もはや完全に自業自得なぼっち高校生、雨野景太。そんな雨野と学園のアイドル、天道花憐をくっつけるため、ゲーム同好会を発足したリア充、上原だったが、なぜか自分のカノジョに浮気を疑われ!?一方、天道は雨野のことが気になりすぎて原因不明の胸の痛みを発症中。そして唐突に開催される“総合テレビゲーム大会”。科学と魔術こそ交差しないものの、遂にラノベ的な異能は覚醒する!!…主人公以外の人物の中で!こじらせゲーマーたちによるすれ違い、未だ猛加速中!

男女五人のスレ違い。この関係性を考え出しただけでもう大成功!本当に勘違いしあう関係性が面白い。そしてラストには勘違いのネタフリが最高潮に。まさかこうなるとは!?

未来でロボット~ネトフで南極

未来屋書店にて。

ネットオフにて。

カットナー『ロボットには尻尾がない〈ギャロウェイ・ギャラガー〉シリーズ短編集』をゲッターした!というか誕生日やから買ってもらったw 新刊で初版オビ付きがまだあったのでラッキー!ユーモアSFでミステリ要素もあるということなので楽しみ!
そしてネットオフが続々到着。
カード『エンダーの子どもたち』!《エンダーのゲーム》シリーズ、一応の完結の巻かな?でもまだ『死者の代弁者』までしか読めてないけどね!『ゼノサイド』もそのうち読みます。
ロビンスン『南極大陸』!ロビンスンといえば『レッド・マーズ』『グリーン・マーズ』『ブルー・マーズ』の《火星三部作》しか知らなかったけど。こんな南極の本が講談社文庫から出てたんだ?

ネトフでワイルド

ネットオフにて。

川又千秋は『火星甲殻団』の続編の『ワイルドマシン』!なんかハヤカワのアンソロジーで面白かったシリーズ!昔ジグソーハウスさんであったのに、そのときはスルーしてしまったんよな。1巻もそのうち探すぞ!
森川智喜『トランプソルジャーズ 名探偵三途川理 vs アンフェア女王』はシリーズの5冊目。1冊目の『キャットフード』が面白かったので!そろえていきたい!

春暮康一『法治の獣』

あらすじ
惑星<裁剣(ソード)>には、あたかも罪と罰の概念を理解しているかのようにふるまう雄鹿に似た動物シエジーが生息する。近傍のスペースコロニー<ソードⅡ>は、人びろがシエジーの持つ自然法を手本とした法体系で暮らす社会実験場だった。この地でシエジーの研究をするアリスは、コロニーとシエジーをめぐる衝撃の事実を知り――戦慄の表題作に、ファーストコンタクトの光と影を描ききる傑作2篇を加えた、地球外生命SF中篇集。

すごい!ハードSFの傑作だった!異星の生物とコンタクトして知性があるのか探索する。そんなシンプルなテーマ。しかし異星生物学を徹底的に想像したアイデア。ここまで発想が出てくるか!さすがグレッグ・イーガンの「ワンの絨毯」やハル・クレメントの『重力の使命』にインスパイアされただけある!しかしそれだけでは終わらずに、異星生物とコンタクトすることによって、いらぬ影響を与えてしまう可能性が出てきてしまう。その葛藤も読み所。人間が手を加えることが、どこまで自然なのか。良し悪し考えあるよなー。なんしか異星生物についてのハードSFであると同時に、平易な文章で読みやすい。いいSFを読んだ!

  • 主観者

地球から十光年先の海洋惑星。そこに七本足のクラゲのような生物ルミナス。一千万くらい個体がいる中、それぞれ触手の先で光パルスでコミュニケーションしている?そこを訪れた5人の探査チームはコンタクトを試みる。人間がコンタクトを取ろうとする行為がどこまで異星の生態系に影響を及ぼしてしまうのか。葛藤。でもここまで注意して。厳しい。そしてこの話がネタフリになって、最終話に繋がる構成が上手い。

  • 法治の獣

惑星<裁剣(ソード)>には、一角鹿のような生物シエジー。知性はないようだが独自の行動規範を持っている。「不快」を避けることを基本として行動している。不快があったら排除。その集団姿勢があたかも罪と罰のようなシステムになっている。例えば、Aが他者を傷つけたら集団にとってAは不快なので追放、みたいにあたかも法律のように行動する。
そしてそれに感化された人類は惑星の軌道上にコロニーを作って、そのシエジーの法律をAIで人間に翻訳して、その法律の下で暮らしはじめる。自然からもたらされた自然法と崇めて、なかば宗教のようになっている。
これまた凄い話。これもまた翻訳SF(イーガン)みたいな、奇抜なSF設定のアイデアと人は何を信じるかイデオロギーの問題を融合させた硬質なSF。最大多数の最大幸福は正しいのか?この最後のカタストロフも翻訳ものっぽい。

  • 方舟で荒野をわたる

惑星オローリンは、自転も地軸も不安定で昼夜がランダムにくる。そんな星にも生物が。100メートル以上の巨大な水分の玉。スライム?外皮も生物で、その中の水分の中にも様々な動植物がいて、全体で複雑な生態系を作っている。しかもその100メートルが、この惑星の不安定な昼を求めて進み続けている。はたしてこのランダムな昼を計算して進んでいるのは確かだけど、どこにそんな知性が?
これまたすごい話。よくこんなアイデアが発想できる。二段三段と新事実が判明して、この知性の秘密が明るみになる。この知的興奮よ!本当にすごい作家さんだ。
ところでこの作者名は、ハル・クレメントをもじっての命名らしいけど、なら「春暮麺人」じゃないのか?wいつかPNの命名も明かされることを期待したい!

収録作品

  • 主観者
  • 法治の獣
  • 方舟で荒野をわたる