くじら座ソーダ通信

主に読書(SFとミステリ)やアニメについて書きます。最近の読書感想は「漫才風読書感想」をやってます。カテゴリーから「漫才風読書感想」を選んで読んでみてください!

光瀬龍『五三の桐のメロディー』

あらすじ
落城寸前の大阪城に、時空を飛びタイムスリップした四人の男女が体験する妖しの世界とは…。

亮人::どぅおもー!漫才風読書感想でーす!
使い魔・ゲンキ君::今回は光瀬龍『五三の桐のメロディー』だガル!
亮人::うーんこれは怪作やね。
ゲンキ君::好きな作家・光瀬龍だからって、厳しい言葉を「怪作」って言い換えてない?
亮人::うーん怪作w
ゲンキ君::あらすじ行くガル。大坂夏の陣で、進退窮まった豊臣秀頼淀殿が自害。しかしそこに妖怪・銅面婆が現れるガル。
亮人::銅面婆って何やねん!?
ゲンキ君::妖怪は秀頼と淀殿を復活させて、大坂から徳川勢を退けるガル。仕舞いには逆に豊臣勢が江戸城まで攻め上がる。
亮人::秀吉の息子・秀頼が、家康を追い詰める!
ゲンキ君::一方、未来では量子力学研究所でタイムマシンの実験。研究員4人が江戸城攻防戦の最中に飛ばされるガル。江戸城攻防戦に巻き込まれる4人!
亮人::ってかコレ、江戸城攻防戦を書きたかっただけやん?そこだけ活き活きと描写してはるけど。それ以外は取って付けた感やん。何やこの話。
ゲンキ君::迷走してるガル?
亮人::何より秀頼の人物像がメチャクチャやったし。自分のアレを名槍・日本号とかいって、そこかしこでヒロインを襲ったり。
ゲンキ君::そして未来に戻った4人に巻き起こる陰謀。
亮人::ここから急に話のタッチが変わって、ハードボイルド逃走劇。またまた取って付けた感やん。ほとんど勢いだけで書いてないか?
ゲンキ君::なによりSFなのに妖怪がキーになるというミスマッチ感が最後まで引っ掛かったガルね。これでSFとしてもいいのかガル?
亮人::まぁ光瀬作品で時々ある大味な作品やな!だがそれも光瀬龍先生のいいとこや!
ゲンキ君::好きな作家だからって許していいガルか?
亮人::うーん怪作w
ゲンキ君::ちーん。
亮人::ところで本書は図書館で見つけて借りてきたわけやけど、復刊ってされへんのかな?
ゲンキ君::こういうハードカバーで出たまま文庫化もしてないけど今さら復刊もしないようなクオリティの作品って、もうこのまま忘れ去られていくのみなんだろうか。なんか、もったいない気がするガルな〜。
亮人::さて。本作にも出てきた秀頼の妻で家康の孫の「千姫」。「お千」。この人、テレビに出てたよな?
ゲンキ君::テレビ?出てたガルか?
亮人::♪おっ千テレビ〜♪ってねw
ゲンキ君::ってそれ兵庫県のU局サンテレビのキャラクター「おっサンテレビ*1」じゃないか〜い!
亮人::お千もサンテレビガールズやったんやな!?
ゲンキ君::なんでだガル!
亮人::ってことは「たこるくん*2」が秀吉やな!?たしかに「ハゲネズミ」みたいな顔してるし!
ゲンキ君::秀吉のあだ名、ひどーい。
亮人::そして「エビシー*3」は「蘇我しー」や!!
ゲンキ君::蘇我氏だけ古代!?ってか関西ローカルなネタばっかりだガル!もうやめさせてもらうわん!ガルガル!!!

密林でJA

アマゾンにて。

早川書房編集部編『ハヤカワ文庫JA総解説1500』を新刊でゲッターしたぜ!最寄りの本屋になかったからネットでだけど!ハヤカワ文庫の国内作家の1500冊が総解説されてるとか、読み応えありそう!
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柞刈湯葉『人間たちの話』

あらすじ
どんな時代でも、惑星でも、世界線でも、最もSF的な動物は人間であるのかもしれない…。火星の新生命を調査する人間の科学者が出会った、もうひとつの新しい命との交流を描く表題作。太陽系外縁部で人間の店主が営業する“消化管があるやつは全員客”の繁盛記「宇宙ラーメン重油味」。人間が人間をハッピーに管理する進化型ディストピアの悲喜劇「たのしい超監視社会」、ほか全6篇収録。稀才・柞刈湯葉の初SF短篇集。

イデアが光るSF短編集。さすがツイッターでも色々発信してる作者さんだけある。特に「宇宙ラーメン重油味」が良かった。夢とロマンとアイデアあふれる、これぞSF!「記念日」の不条理SFっぷりも好き。

  • 冬の時代

氷河期が再び訪れた未来の地球。『少女終末旅行』みたいな二人旅。氷河期に備えて人間によってデザインされた新種の動物の生態が面白い。それにしても氷漬けの世界は読んでても寒いな〜。

  • たのしい超監視社会

近未来の監視社会は、権力による監視ではなく、国民同士が生活を覗き見し合う。興味本位で覗き合うので「たのしい」が先に来て、体制が崩れそうにない。「恐怖」ではなく「たのしい」で監視社会を作る、これは新しい視点。

  • 人間たちの話

圧倒的「他者」を探し求める研究者。地球上の生命も所詮は皆親戚で他者ではないと、地球外生命を大学で研究。それが身近な家族の問題に繋がる。上手い。けどノーベル賞受賞のニュースでの「日本人すごい」的な報道姿勢に対する批判ありきの展開が少し強引か?

宇宙時代。太陽系の果てに、あらゆる種族にラーメンを提供するラーメン屋の屋台が!これは面白い!色々な生態の宇宙人にピッタリのラーメンを提供する。このアイデアの豊富さが楽しい!

  • 記念日

マンションの自分の部屋の真ん中に巨大な丸岩が出現したという不条理SF。ムアコックの「凍りついた枢機卿」みたいな不条理SFを現代に移したような話で、変異が起きても淡々と暮らしてるのがかなりイイ!

  • No Reaction

透明人間の話。透明人間だけど特異な特徴を備えていて、どういうことなんだと思わせておいて、それを最新の科学でさもありなんと思わせる大ネタがいいね!これぞSF!
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